なぜ犬にオスワリをさせるのですか?

ABOUTこの記事をかいた人

千葉県船橋市を中心に、ドッグトレーナー・ペットシッターのBandeを立ち上げあ活動するかたわら、フリーのトレーナーとして、同じく船橋にある犬の総合施設(ホテル、学校、保育園)のスタッフとしても所属。 数年前から動物愛護先進国であるドイツの動物保護施設へ足を運び、現地のドッグトレーナーとも交流。長年の夢だったイギリスの牧羊犬競技会を見に行く事を2017年に実現。 「しつけにお困りかたはもちろん、特に困ってはいないけど、もっともっといろんな事を教えたい!という方も、お気軽にトレーニングをお申し付けください。」

はじめに~皆さんの愛犬の得意技はなんですか?

犬は本当にたくさんのことを覚えてくれます。

  • 名前を覚え、呼んだらこちらを見てくれます。
  • オスワリといったら座ってくれます。
  • お手といったら手を出してくれます。
  • マテと言ったら大好きなごはんを目の前にして必死で耐えます。

皆さんの愛犬の得意技はなんですか?

私の愛犬はボーダーコリーのメスです。
ボーダーコリーのしつけ

実は彼女は、現役で牧羊犬をバリバリ使っているイギリスの牧場からやってきました。
一応トレーナーのはしくれとは言え、動物愛護先進国イギリスで生まれた使役犬(警察犬、盲導犬、牧羊犬といった人間と一緒に仕事をする犬)をきちんと育てることができるのか、一抹の不安がありました。

でも彼女は私の期待以上に色々なことを覚えてくれました。

そしてそのポテンシャルが埋もれてしまわぬよう、日本で牧羊犬としてのトレーニングも行ってきました。

それから私の勝手でドイツまで連れていき、日本ではできない、リードだけでのバスや電車の乗車、普通のレストランで一緒に食事、ショッピングセンターへの立ち入りなど、色々なことを経験しました(させられました!?)

今彼女は9歳になろうとしていますが、家での留守番、友人の家での留守番、車の移動、人混み、ドッグラン、ドッグカフェ、大抵の場所で行儀よくふるまうことができます。

もちろん彼女よりも優秀に振舞える犬たちをたくさん見てきましたので自分の犬にはまだまだ足りない所があることも承知しておりますが、ひとまずはどこへでも連れていくことができます。

飼い主さんに知ってほしい犬のしつけの考え方

この記事を読んで下さっている犬の飼い主さんの愛犬も、
きっとお手やオスワリができる子はたくさんいるかと思います。

ここで少し考えて頂きたいのですが、

ドッグトレーナー冨塚あすか
  • お手やオスワリができるようになっただけで、果たして色々なところに連れて行っても安心できる愛犬になれるでしょうか。
  • あるいは別に外の世界へ無理して飛び出さずとも、家の中や散歩コースである程度お行儀よく振舞うことができるでしょうか。

残念ながら答えはNOです。

私が今までたくさんの飼い主さんたちとレッスンをさせていただいて最も知ってほしいことは、

ドッグトレーナー冨塚あすか
  • オスワリやフセやオイデができるということは「どのくらいの完成度」のことを言うのか。
  • 自分の愛犬たちが、どんなことを難なくやってのけることができるのか。
ということです。

テレビ番組やドッグショーなどでいわゆる「スーパードッグ」と言われ驚くほどの技を見せてくれる犬たちをみかけることはあるかと思います。

しかし、自分たちの犬と結び付けて考える方は少ないでしょう。

モデルケースがないから、自分の愛犬はどれくらいのことができるのかわかる方がまずいないのは容易に想像できます。

そのため、私は機会があれば出張訓練で複数回お客様のお宅へお伺いする間に、ほとんど一度は自分の愛犬を連れていき、どれだけ私の言葉に従うことができるのかをお見せして、
「あなたの愛犬も、今わたしの犬がやったことは必ずできますよ」と説明することをしています。

愛犬の「マテ」「オスワリ」は、本当にできていますか?出張訓練時に感じる事

ご飯時のマテが出来ても必ずしも「指示の言葉を理解している」とは言えない

まず初めての出張訓練でお宅にお伺いした際、飼い主さんは私に飛びついたり吠えかかったりしないよう、愛犬をケージに入れておいてくれます。

「そして〇〇ちゃんを出してくださいと」お願いしたところ、きちんと「マテ」の声をかけてから扉を開けてくれます。

しかしながら慎重に様子を見てみると、扉が数センチ空いただけで顔を一生懸命のぞかせて飛び出してきます。果たしてこれは「マテ」ができていると言えるのでしょうか?

大切なコト
ご飯の前だけ完璧な「マテ」ができても、「ご飯」と「指示の言葉」がいつも一緒でないと待てないということは、「指示の言葉を理解している」とは言えないことを証明してしまっているのです。

散歩中や興奮時にも愛犬はオスワリの言葉で「オスワリ」できますか?

「オスワリ」についても同様の事が言えます。

「オスワリ」もよく披露してくださいますが、オヤツを持った状態か、いつも練習している特定の場所でないとできないことがほとんどで、加えて、できたとしてもほんの一瞬だったりします。

それだけでは散歩中に他犬とすれ違うときに大人しくオスワリをさせたり、狭い道で車が通りすぎるのを待つためにオスワリをさせたりしても、安全になる前にオスワリを勝手にやめてしまったりして、本当の意味で「オスワリ」をしっかりできたことにはならないでしょう。

「マテ」や「オスワリ」の【使い方】を知らない飼い主さんが多い

先ほどは言葉の意味をしっかり理解できていない例を挙げてみましたが、逆のパターンもあります。

リビングで過ごしていたときに突然呼び鈴がなり、来客の対応をしないといけないときがありますよね。

そのときに玄関までトコトコついてきて、来客に飛びかかったり吠えてしまったり、触って触ってとまとわりつくので困っています、、、という相談も受けます。

その状況を実際確認したいので、ご家族と協力をし、呼び鈴を鳴らしてもらいました。

玄関まで犬をついて来させないように、私が代わりに飼い主さんの犬に「マテ」か「オスワリ」を使って動きをストップさせ、玄関まで私一人で対応に向かうところを見せることができました。

飼い主さんは驚きました。

自分の犬がそこまでできるということを知らなかったのです。

なぜでしょう。

「マテ」や「オスワリ」を教えたのは飼い主さん自身なのに。

犬のしつけの本は多くの飼い主さんが自主的に購入しており、飼い主さん同士で情報交換したりして、「マテ」や「オスワリ」の教え方はある程度はわかっていても、「使い時」を知っている飼い主さんはあまりいません。

マテやオスワリは一発芸ではありません。

家の中のあらゆる場面で、散歩コースのあらゆる場面で「マテ」「オスワリ」を使えば解決できる問題や状況はたくさんあるにも関わらず多くの飼い主さんはそれを実践していません。

大切なコト
「マテ」「オスワリ」がいつどんな時も飼い主さんの口からすぐに出てこないと、リードで押さえつけたり、体を押さえつけたり、いちいち抱っこしたりしないといけません。

逆に言えば「マテ」「オスワリ」を言ってあげて愛犬がそれに従ってくれれば様々なことに対応できるということなのです。

犬の飼い主に知ってほしい「オスワリ」「マテ」の指示語の本当の意味・使い方

「オスワリ」「マテ」「フセ」「オイデ」「ハウス」のしつけがまずは重要

自分の愛犬や他犬の安全を守り、犬嫌いの人を不快にさせぬよう、そして、愛犬と楽しいドッグライフを送るために、「オスワリ」「マテ」などの指示の言葉は存在しています。

「お手」は最初の段階のしつけでは全く必要ありません。「使い時」がありませんから。

「オスワリ」「マテ」「フセ」「オイデ」「ハウス」という重要で生活の中で「使い時」が十分にある言葉を、本当の意味で理解させることができてきたら、遊びやそれ以上のコミュニケーションツールとして、「お手」や「回れ」などの芸を教えてもよいと思います。

最後に、私の愛犬ボーダーコリーのエマの「マテ」の事例

犬のしつけ
私の犬は、「マテ」を一度かけ、そのまま離れても全く動くことなく、50mくらい先で口笛一つですぐに戻ってきます。
何もここまでやる必要はありません。
「言葉をしっかり理解させ、その使い時を知り、できたら褒める、できなかったらもう一度やり直しできるように工夫する」
この流れを常に考えて生活すれば、人間の子供が自然の言葉を話し始め理解してくれるのと同じように、指示の言葉もしっかり理解してくれます。

◎ケージの扉があいても「マテ」と言われていれば待ちます。
◎リードでギュッ!と強く引き留め続けなくても、「オスワリ」と言われれば座って信号待ちをします。
◎ドッグランで他の犬と夢中で遊んでいても、飼い主さんに急用ができたので「オイデ」と言えば後ろ髪ひかれながらも戻ってきます。

今はできなくてもできるようになります。
スーパードッグだからできるのではありません。
トレーナーの犬だからできるのではありません。
皆さんの愛犬にもその力があります。そのことを飼い主さんが知らない、知る機会が少ないだけです。是非愛犬の力を信じて、生活に密着した「できること」をどんどん増やしてみてください。

そうすれば、忠犬ハチ公・名犬ラッシー・フランダースの犬など、絵本に描かれているような犬とのパートナーシップも夢ではないかもしれません。

うたパパ
私達犬の飼い主はつい、ご飯をあげるタイミングでオスワリを要求してオスワリをしていたことで、
よし!オスワリはマスターしたと思いがちですよね。

今回の冨塚ドッグトレーナーの記事を読んだ後に、
実際にわが家のフレブルうたを散歩させながら信号待ちをしているうたに「オスワリ」と言っても、
早く歩きたくて「はやる気持ち」を抑えきれずに興奮しているうたは、オスワリをしません。。。

まさに、冨塚ドッグトレーナーの言う、『「ご飯」と「指示の言葉」がいつも一緒でないと待てないということは、「指示の言葉を理解しているとは言えない』この状態だったんだと痛感しました。

このレベルでは本当の意味で、うたを安心して好きな場所に連れて行き楽しむレベルにはなっていないんだと感じたわけです。

「使い時」の多い「オスワリ」「マテ」は、これから改めてしっかりとしつけて行きたいと思います。

それが、犬と一緒に旅行をしたり、時間を共有できる事に繋がるのであれば、
愛情を持って厳しくしつける事もできると思います。

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千葉県船橋市を中心に、ドッグトレーナー・ペットシッターのBandeを立ち上げあ活動するかたわら、フリーのトレーナーとして、同じく船橋にある犬の総合施設(ホテル、学校、保育園)のスタッフとしても所属。 数年前から動物愛護先進国であるドイツの動物保護施設へ足を運び、現地のドッグトレーナーとも交流。長年の夢だったイギリスの牧羊犬競技会を見に行く事を2017年に実現。 「しつけにお困りかたはもちろん、特に困ってはいないけど、もっともっといろんな事を教えたい!という方も、お気軽にトレーニングをお申し付けください。」